研究概要 |
現在,歯科臨床において欠損補綴への歯科インプラントの応用が増加している.天然歯と比較して歯科インプラントでは歯根膜組織が欠除するため,咬みしめ時には天然歯と異なる動きをすると考えられる.しかし,上部構造体に付与する咬合接触については科学的根拠に基づく基準がないのが現状である. 本年度は,インプラント症例における長期経過観察時にオッセオインテグレーションの状態の変化を評価していくために,IMチェッカの開発を行い,模型実験においてインプラント体の直径および植立深さが動揺度指標であるIM値に及ぼす影響について検討を行った.また,昨年度に引き続き,咬合接触の長期経過観察に適した咬合評価法の検討およびインプラント装着患者における咬合接触状態について観察を行った. IMチェッカの評価には不飽和ポリエステル樹脂を用いてモデルの製作を行なった.測定は,製作したインプラントモデルを万力にて固定後,開発したIMチェッカを用いて各モデルに対して5回の測定を行った.また,測定はインプラント体に対して,水平方向および垂直方向の加振を行い評価した.その結果,同一モデルに対する測定の再現性は高く,coefficient of variationは0から2.4%であった.同一規格モデルに対する測定値のばらつきもIM値の平均値で0から3.6と小さかった.垂直方向の加振の場合,直径と植立深さで差が認められたのに対し,水平方向の加振では各植立条件間で差はほんとンど認められなかった. 以上のことから,IMチェッカはインプラントの動揺を測定することが可能であり,また,この動揺はオッセオインテグレーションの程度を評価することが可能であることが示唆された.
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