研究概要 |
最近主として使用されている臼歯用コンポジットレジンはいわゆるハイブリッドタイプであるが、これらの耐摩耗性については不明な点が多い。今回我々は新しく開発されたハイブリッドタイプのものを主に対象として、谷が先に提唱した改変したラトラー試験法に加えてグラスビーズ摩耗試験法による比較評価を行い、臨床における摩耗性評価の結果とを比較して最適なin vitroの摩耗試験法の確立をめざした。まず#400或いは#1000シリコンカーバイドペーパーを内面に貼布した円筒の中に試験片を5個ずつ入れて、87回転/分の速度で回転させ研摩紙との摩耗を計測した。その結果、ハイブリッドタイプの耐摩耗性に優れていることがわかった。グラスビーズ摩耗試験の結果は、ハイブリッドタイプのクリアフィルAP-Xが0.168cm3X10-3と摩耗が大きく、サブミクロン球状フィラータイプのパルフィーク・エステライトが0.0813cm3X10でマイクロフィラータイプのヘリオモーラー・レデイオペークが0.0562cm3X10-3で高密度充填型のコンポジットレジンの摩耗が最も大きく、フィラーサイズの小さいものほど耐摩耗性に優れていることがあきらかになった。グラスビーズ摩耗試験法は臼歯部咬合面における摩耗は、前歯における摩耗と異なり、対合歯との強い加圧接触による咬耗が主役となると考え、このような臼歯部における特殊な機械的環境をin vitroに評価しようと試み、谷らが考案した新しい耐摩耗性試験法である。本法は、アクリル板滑走面上に36umのグラスビーズのスラリーを敷き、その上を400gの荷重をかけて試験片を往復滑走させ、1ストローク10cmであるので20,000回の往復で4,000mを滑走したことになる。一方、歯ブラシ摩耗試験の結果は、クリアフィルAP-Xは0.110cm3X10-3,パルフィーク・エステライトは0.114,ヘリオモーラー・レデイオペーク0.105cm3X10-3で、一定の傾向性はみられなかった。
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