研究概要 |
臼歯用コンポジットレジンの耐摩耗性を評価する最適の試験法を検討した結果、谷らが先に考案したグラスビーズ摩耗試験法(1983)が最もin vivoの結果を反映するin vitroの試験法であることが確認できたので最終的にはグラスビーズ摩耗試験法による精細な実験を行った。本法は透明なアクリル板滑走面上に直径40ミクロンのグラスビーズのスラリーを敷き、その上を400gの荷重をかけて試験片を往復滑走させ、1ストローク10cmであるので20,000回の往復で2,000mを滑走したことになる。本実験に用いたコンポジットレジンは比較的に粗い粒径フィラーの高密度充填型のクリアフィルAP-X(Kuraray), Z250(3M)およびビューティフィル(松風)の3種類とサブミクロンサイズフィラーのパルフィーク・エステライト(トクヤマ)とパルフィーク・タフウェル(トクヤマ)の2種類およびマイクロフィラー配合型のシラックス・プラス(3M)とメタフィルC(サンメディカル)の2種で合計7種のコンポジットレジンである。グラスビーズは表面処理していないGBと予めシランカップリング剤で表面処理したEGB(いずれも東芝バロティーニ)の2種を蒸留水100ml中にビーズ140gを加えたスラリーを用意した。実験の結果、7種のコンポジットレジン全てにおいてGBに比較してEGBを用いた摩耗試験のほうが摩耗が大きかった。摩耗量(体積)の大きい順に並べるとビュウティフィル、Z250、クリアフィルAP-X、パルフィーク・タフウェル、パルフィーク・エステライト、シラックス・プラス、メタフィルCとなった。統計処理のために、コンポジットレジン、グラスビーズを要因とした対応のある2元配置分散分析を実施した結果、コンポジットレジンの主効果、グラスビ-ズの主効果および両者の交互作用で有意であった。
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