研究課題/領域番号 |
11470428
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 邦明 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (40133748)
|
研究分担者 |
飯田 彰 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90292036)
出山 義昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80271667)
平沖 敏文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10125346)
|
キーワード | 全身麻酔薬 / アルカリ性ホスファターゼ / 揮発性麻酔薬 / sodium dodecyl sulfate / ゲルろ過クロマトグラフィー / アイソザイム / サブユニット間の相互作用 / 表面構造 |
研究概要 |
全身麻酔薬はタンパク質に対して直接作用すると考える説が有力があるが、その作用の様式には不明な点も多い。そこで,活性の発現に脂質を必要としないアルカリ性ホスファターゼ(ALP)に対する揮発性麻酔薬の作用について比較検討した。ALPは遺伝子が異なり、酵素学的な性質も異なる腎臓型、小腸型、胎盤型ALPを購入して用いた。揮発性麻酔薬であるイソフルラン、セボフルラン、ハロタン、エンフルラン、ジエチルエーテル、トリクロルエチレン、クロロホルムによるALP活性に対する阻害について調べた。さらに小腸型ALPを界面活性剤であるsodium dodecyl sulfate(SDS)を用いて処理した後、イソフルラン、ハロタン、クロロホルムによるALP活性に対する阻害について調べ、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて小腸型ALPの分子量を算定した。その結果,実験に用いたすべての揮発性麻酔薬は腎臓型および胎盤型ALPを阻害しなかったが、ジエチルエーテル以外の揮発性麻酔薬はその濃度に依存して小腸型ALPを阻害した。サブユニット間の相互作用に影響を与えることが知られているSDSを用いて、SDS処理を行った小腸型ALPではイソフルラン、ハロタン、クロロホルムとも酵素活性の阻害はほぼ消失した。しかし、算定された分子量は、小腸型ALP、SDS処理を行った小腸型ALPとも60k前後であった。以上の結果は、ALP活性の阻害を指標とする限り全身麻酔薬の作用に脂質は必ずしも必要ではないこと、その作用はアイソザイム程度のタンパク質の構造の違いによっても影響されることを示唆する。さらに、サブユニット間の相互作用の違いによって影響されるのではなく、表面構造の変化によっても影響される可能性が示唆された。
|