嚥下反射と呼吸機能の相互作用に及ぼす中枢神経・筋活動性の検討を行うために、初年度は以下の実験機器の設置・調整を行い、関連する予備実験を行った。人の上気道の呼吸抵抗などを詳細に検討するために、圧-流量曲線を測定できるシステムを組み立てた。ポリグラフに圧、流量、積分ユニットなどを設置し、終末呼気に陽圧を負荷できる装置を併用して3〜5ポイントの測定値を得て、圧-流用曲線を解析した。また、呼吸補助筋の働きを鼻翼筋、オトガイ舌筋などに刺入した針電極から節電図を導出し、呼吸の各位相との関連を検討した。圧-流量曲線からは気流抵抗値の他に、臨界閉塞圧や閉塞部位を明らかにできるため、各病態や薬物の投与での特徴的な値がいくつか得られた。 まず、プロポフォールを用いた静脈内鎮静法時の圧-流量曲線の予備実験の解析から、薬物の血中濃度すなわち鎮静度に応じて、抵抗値、臨海圧がことなる可能性がでてきた。さらに、鼻腔から挿入した細いチュ一ブから蒸留水を滴下し嚥下反射を誘発して、呼吸機能との相互作用をみた予備実験では、位相に応じた変化が示唆されたため、吸気、呼気、口呼吸、鼻呼吸の状態に応じて細かく測定する必要があると考えられた。 以上のように初年度は、主に測定システムの構築ならびに予備実験を通しての測定精度の確認を終えることができ、いくつかの興味深い結果が得られた。次年度はさらに詳細な解析を行い、その結果を基に麻酔ネコなどの動物実験のシュミレーションに発展させて、各病態における発生メカニズムを検討し、治療方法などの開発につなげる予定である。
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