研究概要 |
複雑な計算式から算出される口腔年齢を,自動算出できるようシステム化し、某企業の6年間の歯科保健事業(述べ2,822人;男性768人,女性2,059人)において口腔保健状態の総合評価指標である口腔年齢を応用した。その結果以下の結論を得た。 1.産業保健事業の評価を、DMFTやCPIコードの年次推移では明確に示すことができなかった。特にう蝕については蓄積疾患である特徴から、疾患量による評価では改善されることがなく,連続受診による効果は表現できなかった。 2.連続受診者の口腔保健状態を口腔年齢で評価した結果、単年度受診者では暦年齢と口腔年齢との間にほとんど差が認められなかったが,6年連続受診者の口腔年齢は,2年目以降暦年齢より有意に低い値を示し、この産業保健事業を連続受診することの有用性を示すことができた。 3.初回受診者の口腔年齢はほぼ一定であった。 4.年齢群別では、年齢が高くなるほど口腔年齢の方が若く,また暦年齢と口腔年齢との差が大きい傾向が伺えた。 5.性別では,女性と比較して男性受診者の方が暦年齢と口腔年齢との差は,大きい傾向が伺えた. 6.健診後の事後措置表に、受診者の口腔保健状態を口腔年齢で表示し、また結果に対し改善策を示した結果、暦年齢との比較で受診者が自分の口腔内状態を理解しやすくなり、その後の歯科保健行動に参考になったという者が,アンケートの結果8割を超えた。 7.年齢特性のある口腔内状況を集団間で比較する場合,年齢構成を考慮に入れなければならず簡易に比較することが困難であったが,口腔年齢と暦年齢との差を比較することで容易に集団間比較が可能となった.
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