研究概要 |
複雑な計算式から算出される口腔年齢を,自動算出できるようシステム化し、集団健診への口腔年齢指標の応用化について検索した。応用化の検証については、歯科保健事業を7年間継続して実施している職域(調査対象者数延べ3,422名)において、従来の歯科疾患量での評価との比較および継続受診者の経時的変化について検索した。今年度は、主として事業所への報告書および事後措置表へ口腔年齢指標を導入し、事業所および受診者の反応について検討した。 その結果 1.従来の歯科健診現場での評価法であるDMFおよびCPI(TN)による評価では、7年間実施している歯科保健事業の効果を端的に明示することができなかったが、口腔年齢指標で評価した結果、初年度(1993年)と比べ1999年度では明らかに歴年齢より口腔年齢が若くなっており、事業効果を確認することができた。 2.歴年齢と口腔年齢を比較することで,集団の口腔保健状態を平均以下か、平均以上かが年齢という尺度で簡便に判定することが可能となり、今後の保健対策を立てる上での参考となった。 3.受診回数が多くなるほど、口腔年齢は歴年齢より若くなっており、歯科保健事業を継続受診することの効果を明示することができた。 4.健診後の事後措置表に、従来の疾患量の表示や処置の必要性に加え、受診者の口腔保健状態を口腔年齢で表示し、口腔年齢を若くするための改善策を示した結果、その後の歯科保健行動に参考になったという者が8割を超え、さらに9割以上の者が歯科健診の再診を希望していた。このことより、口腔年齢指標は歴年齢と比較することで、受診者が自分の口腔内状態を理解しやすくなり、その結果口腔保健向上への関心が喚起され、受診率向上につながった。
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