研究概要 |
今回,活性化血管内皮細胞上に発現するCX3C-ケモカイン,fractalkineの単球およびNK細胞接着に及ぼす影響について検討を行った.(1)単球系細胞株THP-1は,fractalkine receptor(CX_3CR1)を発現しており,固相化fractalkineおよび血管内皮細胞上のfractalkineに著明に接着した.また,可溶化fractalkineはG蛋白の活性化を介して,β1-,β2-インテグリンのファイブロネクチンおよびICAM-1に対する接着能を増強した.単球と血管内皮細胞との接着においては,インテグリン分子とfractalkineが協調的に作用していることを明らかにした(J.Immunol.vol.165,2000 in press).(2)新鮮NK細胞はCX_3CR1を発現しており,固相化fractalkineおよび血管内皮細胞上のfractalkineに著明に接着した.可溶性fractalkineはNK細胞からの顆粒放出増強を介してNK細胞の標的細胞殺傷能を増強した.さらに,fractalkine遺伝子導入血管内皮細胞がNK細胞により著明に傷害されることを明らかにした(J.Immunol.vol.165,2000 in press).以上の結果より,fractalkineが血管内皮細胞と単球およびNK細胞との接着に深く関与し,内皮細胞上でのfractalkineの発現は血管内皮細胞自身の傷害にも関与していることが明らかとなった.
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