海綿由来アルカロイド、マンザミンAは細胞毒性を有すると共に、強力な抗マラリア活性を示すことから注目されている。マンザミンA及び関連するアルカロイド類の不斉全合成、さらにそれらを分子基盤とする高活性機能性分子の開発を目的として研究を行った。 その結果、L-セリンを不斉源として合成したジヒドロピリジノン環を有するキラルジエノフィルとシロキシジエンのDiels-Alder反応、続く分子内Michael反応を経て光学活性三環性重要中間体の不斉合成法の確率に成功した。本合成は数十グラムから100グラムスケールでも効率良く進行し大量合成に適した合成経路である。さらにB環部にメチルシアノホルメートを用いる⊂1単位の導入、β-ケトエステルのα、β-不飽和エステルへの変換、アリル位酸化を行った。続いて⊂環部にα、ω-ジエン構造を構築後、ルテニウム触媒を用いる閉環メタセシス反応を行いアゾシン環(マンザミンA、D環部)を含む四環性中間体の合成に成功した。さらにB環部酸化段階の調整、E環部の構築をへて、まずイルシナールAへと変換し、さらにカルボリン構造を構築しマンザミンAへと変換する予定である。
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