研究概要 |
本研究では生理活性を持つ天然由来配糖体(人参のジンセノシド,甘草のグリチルリチン,大黄のセンノシド類,柴胡のサイコサポニン等)に対するモノクローナル抗体(MAb)を作製し,高感度かつ再現性の高い手法を開発してきた。また,ソラソジン配糖体に対するMAb産生ハイブリドーマから小型化抗体を作製してきた。 ジンセノシドに対してはジンセノシドRb1,Rg1それぞれに対するMAbを作製し,それらを用いたウエスタンブロテイングを行い,二重染色に成功した。この染色法は発色の色彩によってアグリコンの確定を,バンドのRf値により糖の数を特定出来る画期的な手法である。本手法を応用して人参や竹節人参の成分の特定を行った。大黄のセンノシド類,柴胡のサイコサポニン等に付いても高感度の分析法を構築した。 小型化抗体遺伝子を植物へ導入することにより、抗体と2次代謝産物とのコンプレックスを生成し、より多量の2次代謝産物を生産蓄積するというアイディアに基ずくものである。 Agrobacteriumに組み換えるために、まず大腸菌でのscFVの発現系を構築した。抗ソラソジンMAb産生ハイブリドーマからmRNAを抽出し、逆転写によりcKNAを合成したVHとVLの可変部分に相補的なプライマーを用いてPCRを行いVH,VLを増幅した。VH,VLをペプチドリンカーにより連結しscFV遺伝子を構築する。このものをpET-28aベクターへ組み換えた。本ベクターを大腸菌BL21に形質転換し大量発現系を構築し、IPTGの添加によりscFVを発現させた。本法によれば培地100nl当たり約100mgのscFVが得られる。現在scFV遺伝子をAgrobacteriumに組み換え,組み換え植物体で発現させることによりソラソジン配糖体の生合成をコントロールし、高含有株を作出すべく実験を進めている。
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