研究概要 |
沖縄産海洋生物からの抗痴呆活性物質の単離構造決定 昨年度までに,沖縄産軟体サンゴClavularia sp.由来のドラベラン型ジテルペノイドstolonidiolは中隔野培養細胞に対して,ChAT活性を増強させる作用を有することを見い出している。今年度は,同軟体サンゴからstolonidiol関連化合物の探索を行い,いくつかの関連化合物を単離することができた。また,沖縄産の軟体サンゴあるいは海綿からもいくつかの新規化合物を単離することができた。現在,その構造の確認を行っている。 Stolonidiolの合成 昨年度は,連続Michael反応により得られるビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体をβ-ヒドロキシケトンに誘導後、レトロアルドール反応により位置選択的な炭素-炭素結合の切断とstolonidiolのC-12位に相当する位置の異性化を行い、四置換シクロペンタン誘導体を立体選択的に合成した。本年度はそれに引き続き合成計画に従った検討を行った。四置換シクロペンタン誘導体をメチルアセタールとした後,C-14位のケトンをWolff-Kishner還元しメチレンに変換し,C-10位の酸素官能基を脱離させることにより,立体選択的にE-オレフィンを合成した。メチルアセタールを加水分解して得たヘミアセタールにメチルリチウムを作用させ,生じた一級水酸基をTBSで,三級水酸基をMOMで保護し,C-2位のベンジル基を脱保護した後,フェニルスルホニル基に変換しstolonidiolのシクロペンタン部に相当する化合物を効率良く合成することができた。さらに,別途合成したアリルヨーダイドとのカップリングを行い,脱スルホン化,リン酸エステルとのカップリング,分子内Horner-Emmons反応により11員環の構築を行い,stolonidiolの全ての炭素骨格を備える化合物の合成に成功した。現在,本化合物から,位置選択的および立体選択的なエポキシドの導入を経るstolonidiolの全合成を検討中である。
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