研究概要 |
以前我々が多核多次元NMR法を用いて決定したI型BMPレセプター細胞外ドメインの立体構造のリファインメントをおこなうとともに、構造に基づいてその部位特異的変異体およびTGF-βレセプターとのキメラタンパク質を設計した。それらはいずれもチオレドキシンとの融合タンパク質として大腸菌を用いて発現させることができ、正しいジスルフィド結合を形成させることが可能であった。CDおよびNMRによって、変異体の立体構造が天然型と同じであることを示すことができた。またBMPについても大腸菌を用いた発現系の改良をおこない、天然型と同等な試料の大量調製が可能となった。レセプターの変異体とBMPとの結合を表面プラズモンセンサー、超遠心沈降平衡法およびNMRを用いて定量的に解析することによって、BMPレセプターの、Ile52,Glu54,Thr62,Thr64およびPhe75がBMPの認識・結合に重要であることを明らかにした。これらの知見に基づき、X線結晶構造解析によって決定されたBMPレセプター-BMP複合体の構造をNMRによって決定したBMPレセプター細胞外ドメインの立体構造と比較したところ、認識・結合にあたってレセプターの部分的な構造変化が必要であることが示された。
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