キャピラリー/マイクロチップ電気泳動の特性解明および応用

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470478
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 本田 進 近畿大学, 薬学部, 教授 (50028841)
• 研究分担者: 多賀 淳 近畿大学, 薬学部, 助手 (20247951) ; 鈴木 茂生 近畿大学, 薬学部, 講師 (00154542)
• キーワード: キャピラリー電気泳動 / マイクロチップ電気泳動 / 超微量分析 / 超高速分離分析 / インカラム誘導体化 / 物質間相互作用解析 / 多モード分析 / 単一細胞分析

研究概要

研本研究の目的はキャピラリーやマイクロチップ中で行う無担体電気泳動の特性を明らかにし、種々の物質の分析へ応用することにあるが、本年度は昨年度実施した無担体キャピラリー電気泳動の特性研究の結果を基にして、キャピラリー電気泳動の応用研究を進めた。また、超高速分析を目指してマイクロチップ泳動の研究を行い、基礎技術を確立することができた。これらの研究の主な内容は下記のとうりである。
1 生体成分の微量〜超微量一斉分析:糖質を高感度検出可能な誘導体へ変換する簡便で定量的な方法として、1-phenyl-3-methyl-5-pyrazolone法やN-methylglycamine-7-nitro-2,1,3-benzoxadiazole法を確立し、これらを用いて糖タンパク質糖鎖の微量超微量一斉分析を行った。
2 化学反応を伴う分離分析:キャピラリー電気泳動の単相性を生かしてキャピラリー内で化学反応や酵素反応を行うと同時に生成物を分析するという、特徴のある分析法を確立した。
3 物質間相互作用の研究:昨年の研究を進展させ、さらに基礎理論を展開するともに、糖鎖-タンパク質相互作用に焦点を当てゝ解析を行った。また、生体試料中に存在し相互し合う物質をキャピラリー電気泳動により特異的に取り出す方法を開発し、血清中の糖鎖結合性タンパク質の探索等を行った。
4 単一細胞分析:単一細胞レベルでの赤血球の分析に成功し、さらに分離パターンを細胞表層の糖鎖の存在と関連づけて考察した。
5 マイクロチップ電気泳動装置の試作と応用:マイクロチップを構築し顕微鏡下でレーザーを光源として高速分離/高感度検出する方式について装置を試作し、糖分析等へ適用することができた。一方、石英チップを用い紫外部検出による高速ルーティン分析する方式についても、島津基盤研究所の協力を得てほぼ満足できる分析を行うことができるまでに到達することができた。

研究成果

• [文献書誌] 本田進,鈴木茂生 ほか5名: "Ultramicro analyiss of reducing carbohydrates by capillary electrophoresis with laser-induced fluorescence detection as 7-nitro 2, 1, 3-benzoxadiazole-tagged methylglycamine derivatives"Anal.Biochem.. 286. 99-111 (2000)
• [文献書誌] 本田進,鈴木茂生 ほか3名: "Analysis of sialo-N-glycans in glycoproteins as 1-phenyl-3-methyl-5-pyrazolon derivatives by capillary electrophoresis"J.Chromaotgr.A. (印刷中).
• [文献書誌] 本田進,鈴木茂生,多賀淳: "Capillary electrophoretic analysis of carbohydrates derivatized by In-capillary condensation with 1-phenyl-3-methyl-5-pyrazolone"J.Chromaotgr.A. (印刷中).
• [文献書誌] 本田進,多賀淳: "Capillary electrophoresis of oligosaccharides and complex carbohydrates (Special Volume of Methods in Molecular Biology)"Elsevier (Z.El Rassi 編)(印刷中).
• [文献書誌] 本田進,鈴木茂生,多賀淳 ほか: "Carbohydrate analysis of modern chromatography and electrophoresis (J.Chhromatogr.Seires)"Humana Press (Susumu Honda,,P'ierre Thibauylt 編)(印刷中).