研究概要 |
[1]キトサンナノパーティクル(nanoCP)の細胞内取り込みの検討 顕著な腫瘍成長抑制効果を示したnanoCPの細胞内取り込みを調べるため,L929繊維芽細胞を用い、細胞内及び細胞表面における総Gd量を定量した.TEM観察から多数の粒子が細胞表面に付着し、内部に取り込まれているのが観察された。またGd-nanoCP添加群は市販MRI造影剤マグネビスト添加群の100倍以上のGdを細胞内及び細胞表面に保持していた(培地中Gd50ppm、12時間後).本結果からin vivo Gd-NCT試験での高い抗腫瘍効果にはこの細胞付着・取り込み特性が大きく寄与している可能性が示唆された。 [2]nanoCP静注型製剤の開発 血液中での溶出阻止が容易でなく,検討を継続中である. [3]脂質エマルション(nanoLE)およびリポソームの腹腔内投与による高レベルGd集積 (1)リン脂質のpolyethy-leneglycol誘導体による表面修飾が体内動態に及ぼす影響については,調製法を検討中である。(2)ガドペンテト酸(Gd-DTPA)の疎水性誘導体として合成したGd-DTPAのdistearylamide(SA)とdistearylester(SE)を用いた高Gd含量(3.0mg/ml)nanoLEを,大豆油、レシチン、Gd-DTPA-SA,一SEの基本処方にco-surfactant HCO-60を添加して薄膜法と超音波法により調製し,2mlを腹腔内投与し臓器内Gd濃度を測定した。Gd-DTPA-SEでの血中濃度は著しく低く,-SAと比べてAUCは1/20であり,腫瘍内への蓄積は著しく低いものであったが,肝臓からの消失は-SAとは異なり速やかであった.これは加水分解によるGd-DTPAの脱離の有無がGdの体内動態に顕著に影響を与えることを示した. nanoLEと同様の表面特性を有するGd含有リポソームの調製,ナノ粒子生成装置としてのマイクロカプセルの粒子設計,無菌条件下微量調製技術の開発,ガドリニウム含有キトサンナノ粒子の粉砕法による調製についても検討を継続中である.
|