研究概要 |
[1]キトサンナノパーティクル(nanoCP)の細胞内取り込みの検討 L929繊維芽細胞、B16F10メラノーマ細胞およびSCC-VII扁平上皮癌細胞で,Gd取込み量はそれぞれ18,27,60μgGd/10^6cellsであった(培地中Gd濃度40ppm、37℃,12時間後).4℃での結果との比較から,Gd取り込みの差には各細胞のエンドサイトーシス活性の違いが関与していた。さらにいずれの細胞種においてもガドペンテト酸ジメグルミン水溶液添加群での取込み量は著しく低かった。本結果よりin vivoでの高い抗腫瘍効果には、Gd-nanoCPの高い細胞付着・取り込み特性が寄与していることが示唆された。 [2]nacoCP静注型製剤の開発 粒子径が100nm以下になることが必須であり,調製法の検討を行った。中和剤水溶液の直接添加を行うエマルション沈澱法を新たに開発し,350nmにまで粒子径を減少させることができた。より微粒子化を目指した検討を継続中である。 [3]脂質エマルション(nanoLE)およびリポソームの静脈内投与による高レベルGd集積 Gd腫瘍蓄積性において,リポソームに比べエマルションが優れ,エマルションのコア脂質としては大豆油が優れていた。また,油水界面層の量を増やしてGd含量を高め,2回の繰り返し投与を行うことで,腫瘍内Gd濃度を189ppmにまで高めることに成功した。これは,Gd157を用いれば有意な腫瘍成長抑制効果が得られるレベルである。 [4]新規機能性分子・粒子の探索 ガドリニウム含有キトサンナノ粒子の粉砕法による調製について検討を行い,キレート剤を疎水化したGd-DTPAのDistearylamideを添加することにより1.8μmの微粒子が有られること,これにGdを添加することによりGd含有微粒子とすることが可能であることを示した。
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