研究課題/領域番号 |
11470481
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
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研究分担者 |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
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キーワード | マクロファージ / 好中球 / 肥満細胞 / p42 / 44 MAP kinase / p38 MAP kinase / cyclooxygenase-2 / interleukin-4 / macrophage inflammatory protein-2 |
研究概要 |
炎症細胞の機能発現における MAP kinase の関与について以下の4点について解析した。 (1)マクロファージのアラキドン酸代謝:ラット腹腔マクロファージを発癌プロモーター staurosporine で刺激すると cyclooxygenase-2 が誘導され、prostaglandin E_2 の産生が亢進する。p44/p42 MAP kinase の活性化阻害薬PD98059は、cyclooxygenase-2の誘導を部分的に抑制し、prostaglandin E_2の産生を強く抑制したことから、これらの反応にp44/p42 MAP kinaseが関与していることが示唆された。 (2)マクロファージ様株RAW264.7細胞のヒスタミン産生:発癌プロモーターでRAW264.7を刺激するとヒスチジン脱炭酸酵素が誘導され、ヒスタミンの産生が亢進する。PD98059はこのヒスチジン脱炭酸酵素の誘導を強く抑制したが、p38 MAP kinaseの阻害薬SB203580ではわずかに抑制されただけであった。(3)好中球のケモカイン産生:好中球をstaurosporineで刺激したときに生じるケモカインmacrophage inflammatory protein-2の産生は、PD98059及びSB203580で強く抑制された。その作用機序として、p44/p42及びp38 MAP kinase はいずれも転写だけでなく、mRNAの安定化及び翻訳にも関与していることが明らかになった。(4)肥満細胞のinterleukin-4産生:SB203580は抗原刺激によるinterleukin-4産生を部分的に抑制したが、PD98059はむしろ増加させた。また、phosphatidylinositol 3-kinase阻害薬wortmanninは抗原刺激によるp38 MAP kinase及びc-Jun N-terminal kinaseの活性化を強く抑制したが、interleukin-4の産生の抑制作用は部分的なものであった。以上のように、MAP kinaseは炎症性細胞の種々の機能発現に関与しているが、p44/p42 MAP kinaseとp38 MAP kinaseの関与の大きさは、それぞれ、細胞機能毎に大きく異なることが示唆された。
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