研究課題/領域番号 |
11470481
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
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研究分担者 |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
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キーワード | p38MAP kinase / STAT1 / アポトーシス / 好中球 / 気道上皮細胞 / デキサメサゾン |
研究概要 |
昨年度に引き続き、気道上皮細胞及び好中球の機能発現におけるMAPkinaseの関与について解析するとともに、強力な抗炎症作用を持つステロイド性抗炎症薬のMAPkinase活性化抑制作用機序について解析した。(1)気道上皮細胞株NCI-H292細胞をインターフェロンーγで刺激した場合、転写因子STAT1はチロシンリン酸化とともにセリンリン酸化を受ける。そのセリン・スレオニンキナーゼについて解析したところ、p38MAPkinaseは関与していないことが明らかになった。これまで、STAT1のセリンリン酸化部位のアミノ酸配列から、MAPkinaseによりリン酸化されると考えられていたが、この可能性を否定する結果である。したがって、気道上皮細胞における接着分子ICAM-1の発現にはMAPkinaseの関与は小さいことが示唆された。(2)好中球のアポトーシス・生存におけるP38MAPkinaseの関与について解析した。ラット腹腔浸潤、好中球は、invitroで培養すると速やかにアポトーシスに至るが、P38MAPkinase阻害薬を添加することにより生存延長が見られることが明らかになった。これらの結果から、p38MAPkinaseを阻害することは炎症局所における好中球の生存を誘導し、炎症反応を増悪化させる可能性が示唆された。(3)マスト細胞においてステロイド性抗炎症薬dexamethasoneのP44/42MAPkinase活性化抑制作用機序につて解析した。その結果、dexamethasoneはMAP kinase kinase kinaseであるRaf-1の細胞膜・ラフト画分への移行を抑制せずに、そのリン酸化を抑制することを見いだした。この結果から、MAPkinaseの活性化を抑制する標的分子はRaf-1及びそのリン酸化酵素である可能性が示唆された。
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