研究課題/領域番号 |
11470486
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
土屋 友房 岡山大学, 薬学部, 教授 (80012673)
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研究分担者 |
月原 冨武 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00032277)
見尾 光庸 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70190600)
水島 徹 岡山大学, 薬学部, 助教授 (00264060)
小林 佐賀恵 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90212654)
増田 和文 岡山大学, 薬学部, 助手 (00243486)
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キーワード | DNA複製 / DnaA / リン脂質 / ATP |
研究概要 |
遺伝情報を正確に子孫へ伝えるためには、染色体DNA複製開始反応を厳密に制御する必要がある。したがってその制御の中心となる、染色体DNA複製開始因子の活性制御機構、即ち複製開始時に複製開始因子を活性化する機構、及び複製開始後、それを不活性化して過剰な複製開始を抑制する機構の解明は、大変重要な研究課題である。DnaAは遺伝生化学的に最も解析の進んだ複製開始因子であり、大腸菌を含む原核生物に広く保存されて存在している。DnaAはATP、及びADPと高い親和性を持っており、ATP結合型が活性型で、ADP結合型が不活性型である。DnaAは内在性のATPase活性(ATPをADPへ変換)を持っており、複製開始後、このATPaseが活性化されてDnaAがADP型へ不活性化されるにことによって過剰な複製開始が抑制されていることを我々は最近明らかにした。一方、次の複製を開始させるためにDnaAをADP型からATP型へ再活性化する機構に関しては、試験管内で膜の酸性リン脂質がDnaAと相互作用してADPのDnaAからの遊離を促進することによって再活性化が行われていると考えられているが、その分子機構は全く分かっていなかった。本年度我々は、酸性リン脂質との相互作用に必須なアミノ酸残基の同定を行うことによりこの分子機構の解明を目指した。そして、酸性リン脂質の酸性部分が、DnaAの328番目のアルギニン、及び372番目のリジンの二つの塩基性アミノ酸残基と相互作用して、ADPとの結合に必須な334番目のアルギニン周辺の高次構造を変化させることにより、DnaAからのADP遊離を促進していることを明らかにした(Makise ef al., J.Biol.Chem.2001;Makise et al., Biochem.J.2002)。
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