初年度である平成11年度は、まずPHBPノックアウトマウス作成に集中することにした。 1)マウスPHBP遺伝子のクローニング ノックアウトマウスの作成に使用するE14系マウスのDNAからラムダファージ系ゲノムライブラリーを作成した。次に既に本研究者がクローニングしていたマウスPHBPcDNAをプローブとしてゲノムクローニングを行った。既に6クローンを得ており、その構造を解析したところ、既に決定していたヒトPHBPゲノム構造とイントロンの長さの違いを除けば極めて高い相同性をもっと結論できた。 2)PHBP遺伝子ターゲティングベクタ一の構築 べクター構築にはpLXNTKを用いた。これは選択用にヘルペスウイルス・チミジンキナーゼTKとネオマイシン耐性遺伝子Neoを含む。マウスPHBP遺伝子の第一及び二エクソンを含む約20kbのDNA断片を数種類の制限酵素で切断して、長腕用DNAと腕用DNAを作成した。長腕と単腕の間にある第一エクソンを含む約5kbをノックアウトするように設計した。次に両腕をプラスミドベクターにサブクローニングし、長腕DNAと短腕DNAの間にNeo遺伝子を挿入し、長腕側の末端にはTK遺伝子を結合させた。このように作成した夕一ゲティングベクターを大腸菌にて調製した。 3)PHBP遺伝子ノックアウトマウスES細胞クローンの調製 上記のターゲティングベクタ一を、E14由来ES細胞培養株にエレクトロポレーションにて導入した。非相同組み換えが起ると、TK遺伝子が挿入されるためにGANC感受性になるので、相同組み換えが起こったES細胞をNeo耐性・GANC耐性細胞として選択可能である。約2千万個のES細胞にトランスフェクション後、薬剤耐性選別して、127細胞クローンを得た。この全クローンを増殖させてから、PCR解析したが、正確な相同組換えを起こしている細胞は得られなかった。欠損させるDNA長が5Kbと長いのが、相同組換え率を下げたのではないかと推定して、現在、欠損DNA部位が短いべクターを構築中である。
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