研究課題/領域番号 |
11470492
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
辻本 雅文 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 主任研究員 (00281668)
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研究分担者 |
野村 義宏 東京農工大学, 農学部, 助手 (10228372)
松本 英子 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 基礎特別科学研究院 (00312257)
服部 明 理化学研究所, 細胞生化学研究室, 研究員 (50300893)
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キーワード | アミノペプチダーゼ / 金属酵素 / オキシトシナーゼ / 胎盤性ロイシンアミノペプチターゼ / 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ / 生理活性ペプチド / 遺伝子クローニング / CHO細胞 |
研究概要 |
最近我々が単離・同定に成功した胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ/オキシトシナーゼ(P-LAP)の種々の生理活性ペプチドに対する分解能を、CHO細胞大量発現系を用いで調製した遺伝子組換え型P―LAPを用いて検討した。その結果、P-LAPは、これまでP-LAPによる分解の可能性が示唆されていたオキシトシン、バソプレシンを分解することが明らかとなり、妊婦血清中に分泌されたP-LAPは上記ペプチドホルモンの分解作用を介してその血中濃度を調節することで、正営な妊娠の維持に重要な役割を果たしているととが明らかとなった。 また、P-LAPと高い相同性を有する新規アミノペプチダーゼの単離を試みた結果、脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ(A-LAP)の遺伝子クローニングに成功した。A-LAPはP-LAPと同様にM1含亜鉛ペプチダーゼファミリーに属し、なかでもA-LAPとP-LAPとの一次構造上の相同性が43%と極めて高いことから、A-LAPはP-LAPと共に「オキシトシナーゼサブファミリー」と称する新規ファミリーとして分類すべきであると考えられた。A-LAPの細胞内局在を検討し結果、それには細胞質型と細胞外分泌型が存在するという極めて特異な性質が認められ、また膜画分に存在しているP-LAPとも大きく異なっていることが明らかとなった。次にA-LAPについてもP-LAPと同様にCHO細胞を用いて組換え型酵素を調製し、その性状解析を行なった。その結果、A-LAPは人工基質であるLeu-MCAに対して最も高い水解活性を示すこと、その人工基質に対する特異性はP-LAPのそれに比べて狭いこと、A-LAP活性はアミノペプチダーゼ阻害剤であるアマスタチンおよびベスタチン、キレート剤である1,10-フェナンスロリン、Zn^<2+>などによって阻害されることが明らかとなった。さらに生理活性ペプチド分解能も検討した結果、A-LAPはP-LAPが分解したオキシトシン、バソプレシンに対しては分解能を示さなかった。一方、アンジオテンシンIIに対する分解能が認められたことから、A-LAPの生理機能として血圧調節に関与している可能性が考えられた。
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