研究概要 |
1.AhRによるシグナル伝達機構の解析 AhRにはNLS,NESが存在することは既に報告したが、本年度は細胞融合により多核にした細胞にGST-AhR-GFP融合タンパクを注入することにより細胞質-核間をシャトルするタンパク質であるでことを証明した。同時に全長のAhRも細胞内でシャトルしていることを示すために、6xHisを融合したAhR cDNA発現ベクターを細胞に導入し、抗6xHis抗体で免疫染色した。未処理の細胞では細胞質に検出されたが、メチルコラントレンで核に局在した。さらにレプタマイシンBでも核への蓄積が観察された。これらの実験よりAhRは細胞質より核へ、また核から細胞質へと両方向に輸送されることが明らかにされた。 2.血液細胞の分化に伴ったAhR遺伝子発現調節機構の解析 ヒトAhRは末梢血単球画分及び単球性白血病細胞において高い発現が見られ、骨髄性白血病細胞においては単球-マクロファージ系に分化誘導したときにのみAhRの発現誘導が観察されている。AhR遺伝子の転写に重要な領域を特定する実験結果より、CRE,E-box,Sp-1 cis elementあるいはその近傍を認識する転写因子がAhR発現に強く関与することが示唆された。
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