研究概要 |
protein tyrosine kinaseは分化・発生あるいは発ガンに重要な役割を演じている。例えばプロトオンコジーンとしてerbB,met,abl,srcなどのprotein tyrosine kinaseがある。現在まで、そのdifferential display法はわれわれが知る限りではひとつの報告があるのみである。これはprotein tyrosine kinaseの保存された二つの活性ドメインを利用することによりdifferential displayを行っている。しかしながらdisplayするためにPCRで増幅したDNA断片を制限酵素で処理しているために短いバンド(180bp以下)である。われわれは共同研究者ワイズマン博士の開発したdifferential display法とkinaseの保存された二つの活性ドメインを利用することによりprotein tyrosine kinaseのdisplay法を新しく開発した。この方法をまえに成功したヒト大脳系に適用した。現在までに400バンド位のDNAシーケンスの解析を終えたが、60%位がprotein tyrosine kinaseであることが同定された。janus kinase,met proto-oncogene,epidermal growth factor receptor,Eph,Eph-like receptor tyrosine kinaseなど47種のkinaseであった。既知のkinase以外の遺伝子は10〜15%で、残りは未知の遺伝子であった。このように未知の遺伝子が多いのはジーンバンクに登録されているDNAシーケンスはmRNAの3'末端部ESTが大部分を占めているためであると考えられる。
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