研究概要 |
diffrential display法を利用することにより、最終的に4個(A31,Hp-1,B39およびC21)のヒト胎生期大脳に特異的な遺伝子を同定した。そのうち2個(A31およびHp-1)のクローンはそれぞれSox11およびBBP(β-amyloid peptide-bindihg protein)-like protein 2であることが他の研究者から報告され、残り2個はhypothetical proteinとして報告されている。次に特異的に発現している遺伝子を解析すべく、Sox11についてcRNAによるin situhybridizationを行い、神経細胞の樹状突起の発生に関与している示唆を得た。更にそれらの蛋白質の局在を明らかにするため、上記4個とSox11に対する対照として大脳に発現し、Soxファミリーの同じグループに属するSox4およびSox22についてペプチド抗体の作製をした。また遺伝子のコーディング領域をオワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質レポーター遺伝子pEGFPにサブクローニングした。特にSox4とSox11についてP19細胞にトランスフェクションさせ、遺伝子発現の細胞内局在を確認すると共に樹状突起形成を促進することを示唆するデータを得た。現在抗体による上記蛋白質の細胞内局在および樹状突起形成への関与を追究中である。その他、脳に発現している蛋白質チロシンキナーゼをモデルとして、特異的なdiffrential display法を開発した。degenerate oligonucleotide primerのミスプライミングのため、疑陽性のバンドがdisplay上出現したが、diffrential display法として有用であることが判明した。
|