1 7q32領域のPACクローンによるコンティグ構築:7q32領域には刷り込み遺伝子MESTが局在する。一方、7番染色体の母性片親性ダイソミー(UPD)は子宮内発育不全(IUGR)を起こす。刷り込み遺伝子は一般的にゲノム上で集合して存在するので、7q32領域における同様な遺伝子集合の有無を検討するため、MESTを含むコンティグを以下の様に構築した。(1)PACライブラリーのスクリーニングによってMESTを含むクローンの取得、(2)PACインサート端〜200bpの塩基配列決定、(3)配列からPCRプライマーの作成(新規STS)、(4)同ライブラリーのスクリーニング、(5)ステップ2〜5の繰り返す、(6)ギャップ部分はBACクローンで埋めた。結果として、2つのマーカーD7S530とD7S649間の〜1Mb領域にわたるコンティグを構築し、60個の新規STSを作成した。また、このコンティグ内に47個の遺伝子またはESTをマップした(Genomics投稿中)。この統合物理地図は新規刷り込み遺伝子の単離・同定に有用である。 2 7q32領域における刷り込み遺伝子の同定:MEST近傍には従来刷り込み遺伝子とされていたg2-COP遺伝子があるが、胎児組織における発現解析から、同遺伝子は両アレル発現であり刷り込みを免れること、同領域にある新規ESTコンティグ(stSG1728)はg2-COPの3'-UTRと逆向きに重なり、stSG1728はg2-COPのイントロン20のアンチセンス転写物であり、胎児組織では父性片アレル発現することを証明した。
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