研究課題/領域番号 |
11470509
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00302612)
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
伊藤 清美 北里大学, 薬学部, 講師 (60232435)
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キーワード | 有機アニオン / oatp1 / oat3 / 胆汁排泄 / 尿中排泄 |
研究概要 |
薬物は投与後、肝臓あるいは腎臓を介して体内からの消失を受けるが、薬物開発および薬物の適切な使用にとって、主要な消失ルートを決定することは必要不可欠な研究課題となる。本研究においては、特に肝臓および腎臓への化合物取り込み機構につき、分子レベルおよび細胞レベルでの検討を加えた。ここで、肝臓においては、血管側膜上に有機アニオン輸送担体(oatp1)が発現され、各種薬物の肝取り込みに関与することが示唆されているが、各薬物の肝取り込みにおいてoatp1がどの程度寄与しているのかに関する定量的な解析は全くなされていなかった。そこで、oatp1により肝細胞に取り込まれる17b estradiol-17b-D-glucuronideを基準化合物とし、テスト化合物および基準化合物の、肝細胞およびoatp1 cDNAを導入したCOS-7細胞への取り込みを比較検討することにより、寄与率の決定を行う方法を提唱した。その結果、各種薬物取り込みにおけるoatp1の寄与が求められたが、oatp1以外の未同定の輸送担体の関与も同時に示唆された。その候補として、現在oatp2および下術のoat2,3を想定しているが、今後、これらの輸送担体の分子レベルでの解明を行うことにより、薬物肝取り込みを定量的に記述することが可能となろう。また、腎尿細管取り込みに関しては、すでにクローン化されている有機アニオン輸送担体(oat1)のホモログとして、新規にoat3を固定することができた。この蛋白は、腎臓のみならず肝臓にも発現されており、p-アミノ馬尿酸を代表とする尿中排泄型の有機アニオン類を基質とするのみでなく、シメチジンなどのカチオン性化合物の輸送にも関与することが示された。本研究により、腎臓にはoat1,2,3が発現されることが示され、またそれぞれの輸送担体に対して選択的な阻害剤を見出すことができた。これらの阻害剤を利用することにより、それぞれの輸送担体の寄与に関する情報を得ることができるものと考えられる。
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