研究課題/領域番号 |
11470513
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
澤田 康文 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (80114502)
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研究分担者 |
穴井 元昭 (株)シー・アール・シー, 中央研究所, 所長
前田 稔 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (70101178)
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40218699)
高長 ひとみ 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20284523)
松尾 浩民 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (60274479)
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キーワード | パーキンソニズム / ドパミン受容体 / カタレプシー / 処方設計 / 副作用予測 |
研究概要 |
(1)計25種の薬物について、薬剤性パーキンソニズムモデルとしてマウスにおけるカタレプシーを評価するとともに、その際の線条体ドパミンD1,D2及びムスカリン性アセチルコリン受容体の結合占有率をin vivo逆滴定法により評価した。その結果、薬剤性パーキンソニズムのモデルであるマウスカタレプシーの強度は、ドパミンD1,D2及びムスカリン性アセチルコリン受容体の結合占有率により定量的に予測できることを確認した。 (ii)薬剤性パーキンソニズムを誘発する薬物に関し構造活性論的アプローチを行った結果、それらに共通な構造として、ジエチルアミノメチル基を見出した。これにより、構造活性相関の面からのパーキンソニズム誘発候補薬物の絞り込みを容易にした。 (iii)診療科との積極的連携により、プロピベリン(頻尿治療薬)による薬剤性パーキンソニズムの世界最初の症例を見出した。さらに、その発症機構をマウス動物実験及びin vivoならびにin vitro受容体結合置換実験により明らかにした。 (iv)計25種の薬物のドパミンD1,D2及びムスカリン性アセチルコリン受容体に対する結合親和性を、in vitroにおいて受容体結合置換実験により実験的に求めた。これにより、各薬物の脳内濃度を入力関数として、薬剤性パーキンソニズムの強度を定量的に予測するための基礎データを得ることができた。 (v)ヒトにおける薬剤性パーキンソニズムを予測するために、ヒトにおける薬物の体内動態を入力関数とし、(iv)で求めた各受容体への親和性から、ヒトにおける各受容体の結合占有率を推算した。ここから、(1)で確認された関係式を用いて、ヒトにおけるパーキンソニズムの危険性を、ハロペリドールに対する相対危険度として予測した。その結果、予測された危険度は、実際の臨床試験における薬剤性パーキンソニズムの発症率と対応していた。すなわち、ヒトにおいて予測される脳内の受容体結合占有率から、ヒトにおけるパーキンソニズムの危険性を予測するための方法論が確立に成功した。 (vi)(v)で確立した方法論を臨床に応用するために、複数の薬剤を含む処方を服用した際の、各薬剤による累積的な受容体結合占有率を算出し、ここから処方全体としてのパーキンソニズムの危険性を計算するモデルを作成した。さらに、これを処方作成システムと統合することにより、処方設計支援システムのプロトタイプの開発に成功した。
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