本研究の目的は、骨格筋へのfeed arteryの筋原性および流量依存性血管調節機構に及ぼす長期間の持久性トレーニングの影響をラット骨格筋feed arteryの摘出標本を用いて検討することである。初年度の1999年度においては、ラットの大腿薄筋のfeed arteryを用いて、筋原性および流量依存性の血管調節機構の相互作用について検討することを目的とした。 実験には7〜8週齢のWistar系雄ラットを用い、ペントバルビタール(5mg/100g)麻酔下のラットより大腿薄筋へのfeed artery摘出標本を作成した。摘出標本は、液温37℃、pH7.4に維持したクレブス重炭酸緩衝液中で径100μmのガラス微小管へ接続した。経壁庄変動に対する大腿薄筋第一分岐細動脈の血管径及び壁厚の変化を潅流圧・流量調節装置及び血管径・壁厚測定装置を用いて測定した。測定結果は、PowerLabを介してコンピュータへ取り込みデータを処理した。血管内圧は、20mmHgより160mmHgまで20mmHg刻みで上昇させた。 本研究において血管内圧を変動させることによる血管系の変化(筋原性血管調節)が、大腿薄筋の第一分岐細動脈においても観察されることが確認された。血流速度の増大に伴う血管拡張(流量依存性血管拡張)については、先行研究において筋原性血管反応を減弱させると一部報告されているが、本研究では一致した結果をえられず、さらに検討が必要であると考えられる。 実験計画の2年度目にあたる2000年度においては、筋原性血管応答と流量依存性血管拡張機構の相互作用およびこれらの血管調節機構に及ぼす持久性トレーニングの影響について検討する予定である。
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