研究分担者 |
長谷川 均 国士館大学, 文学部, 助教授 (80208496)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 教授 (10135387)
小池 一之 駒沢大学, 文学部, 教授 (20052483)
大平 明夫 宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (00262824)
藤本 潔 農水省, 森林総合研究所, 主任研究員
|
研究概要 |
本研究は,多様な海岸域の地形の中でもとくに脆弱性の顕著なデルタ・海岸低湿地(エスチュアリー)・砂堤列海岸・マングローブ海岸・珊瑚礁を対象として,完新世後半の地形変化を高精度に把握するとともに,環境変化に対する海岸域の応答を総合的に解明するものである.海津はチャオプラヤデルタの堆積物の年代および堆積環境を把握するため,ハンドオーガーによる掘削調査を行い,年代測定および微化石分析のための試料を採取して,得られた年代値と堆積物の産出高度から本地域の相対的海水準変動を推定するとともに,完新世後半の海岸環境の変遷を検討した.また,大平は十勝川下流低地について沖積層の層序・層相の検討,年代測定結果から,地形および堆積環境の変遷を明らかにした.松原は,砂堤列が発達する駿河湾沿岸低地(狩野川下流低地,浮島ケ原低地,静清低地)において,砂提列の発達過程を明確にした上で,これらの砂提列が人間活動の場になってゆく過程を考察した.さらに,長谷川は空中写真にもとづくサンゴ礁浅海域の詳細披履分類図の作成を行うとともに,LANDSAT,SPOT データを使って近年の(季節ごと)の陸域,海域の変化を抽出し,それらに影響を及ぼす流域からの物質供給について注目しながら検討した.藤本は,西表島のマングローブ林において、その立地形成過程を明らかにすると共に,堆積物中に蓄積されている炭素量を見積もり,立地形成過程において発揮される炭素蓄積機能を評価した.小池は,石垣島を縁取る裾礁の現状と利用形態について観察し,大規模リゾート開発に伴って安全な遊泳海域を確保するために行われた礁池を掘り下げて砂を投入する工法が,珊瑚礁地域の生態系を著しく傷つけるものであり,生態系に与える影響は大きいものと思われることを指摘した.また,中村はこれらと関わる年代測定を実施した.
|