研究分担者 |
松原 彰子 慶応義塾大学, 経済学部, 教授 (20239065)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
小池 一之 駒沢大学, 文学部, 教授 (20052483)
大平 明夫 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (00262824)
長谷川 均 国土館大学, 文学部, 助教授 (80208496)
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研究概要 |
本研究は,多様な海岸域の地形の中でもとくに脆弱性の顕著なデルタ・海岸低湿地(エスチュアリー)・砂堤列海岸・マングローブ海岸・珊瑚礁を対象として,完新世後半の地形変化を高精度に把握するとともに,環境変化に対する海岸域の応答を総合的に解明するものである.海津はチャオプラヤデルタにおける地形および堆積環境の変化を明らかにするため,掘削調査を昨年度に引き続いて行い,年代値および堆積物の堆積環境,地表の微地形等から完新世後期における本地域の地形変化,海面上昇の影響について検討した.また,大平は前年度に引き続き,北海道十勝川下流低地を対象として,ハンドボーリング・トレンチ調査,完新世最上部堆積物の採取・観察し,デルタ平野が5200年前までに急速に拡大したこと,河川の氾濫が3700年前以降に活発化した可能性があることなどを明らかにした.松原は,砂堤列が発達する日本各地の沖積低地において,砂堤列の発達過程を総合的に考察した.また,長谷川は空中写真にもとづくサンゴ礁浅海域の詳細被覆分類図の作成を行うとともに,衛星画像データを使って近年の陸域における土地利用の変化とかかわる流域からの物質供給について注目し,珊瑚礁の変化について検討した.藤本は,西表島のマングローブ林における炭素蓄積量の比較検討をおこない,地上部の炭素蓄積量は東南アジアのそれと比べると約半分の値であるのに対し,地下部における値は東南アジアのマングローブ林域におけるのとほぼ同じ値であることを明らかにした.川瀬は,伊勢平野南部における沖積層の層序・層相について検討し,土砂供給量の活発な時期と比較的安定した時期が存在することを明らかにしたが,その年代についてはまだ十分な結果が得られていない.中村はこれら各研究と関わる年代測定を実施した.
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