研究概要 |
リモコンによるTVチャンネルのひんぱんな切り替えをザッピングという。視聴者のザッピングに対して、番組制作者は、番組を細切れにしたり、つながりをわかりにくくしたりしてチャンネルを替えさせないようにしている。あるいは、他のチャンネルからザッピングしてくる視聴者を捕まえるために、画面を光らせたり、画面に動きをつけている。また、番組開始を54分開始と、少し早める「8時またぎ」は、8時にかぎらず行われるようになった。これらの対策はテレビ画面を落ち着きのないもの、刺激の強いものにしている。これらは、どの国でも起きているのではなく、日本でのみ生じている現象である。ザッピングの実態が不明なためといえる。 昨年の研究では、ザッピングを機械計測するための装置「ザッピングカウンター」を1台、開発した。テレビを操作するリモートコントローラーからでる赤外線を感知する受光部と、チャンネル、開始時間、チャンネル切り替え時間を記録する記録部からなる装置である。テレビの側に設置できるように、高さ15cm、横4cm、奥行き20cmと小型化した。地上波ならびにケーブルテレビに対応して、30チャンネル、データ8000件記録できる装置である。 今年度は、 1、ザッピングカウンターを5台製作し、家庭で試用してみた。 2、CS放送に対応できるように300チャンネルまで測定できるシステムとその試作機を製作した。 1、家庭での試用について 6ヶ所の家庭で1週間試用してみた。すると家庭用蛍光灯のon,offあるいは夕日の影響を受け、データにエラーがでることがわかった。データの信頼性は低かったが、テレビ番組自体がストーリー性のあるドラマ主体になったためか、ザッピングの回数は、先行研究(村野井、1998)の3分40秒に1回に比べ、10分に1回と減っていた。 2、300チャンネル対応について CS放送に対応するためにプログラムを書き換え、内臓チップも変更した。それによりザッピングカウンター改良型を製作することはできた。しかし、家庭で試用することを考えた場合、家庭の人にチャンネルをすべてザッピングカウンターに覚えこませてもらうのは、かなり困難といえる。何らかの対策が必要である。
|