研究課題/領域番号 |
11480039
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
鈴木 庸子 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (00216459)
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研究分担者 |
清水 百合 九州大学, 留学生センター, 助教授 (90274539)
カッケンブッシュ 寛子 名古屋外国語大学, 大学院, 教授 (10204439)
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キーワード | 教育メディア / 教材開発 / 読解学習支援システム / 自主学習支援システム / 語学教育 / 日本語教育 / 読解教育 / 日本語分析 |
研究概要 |
1.「新書ライブラリー」ウィンドウズ中国語版を完成し、試行実験を行った:4月〜6月に名古屋外国語大学で試行実験を行い、システムの不具合が発見されたため、7月〜9月に修正を行った。10月〜1月に再度試行実験を行い、次の結果を得た。また、3月〜4月に九州大学留学生センターで試行実験を継続中である。 (1)読書過程で朗読の音声提示を必要と感じるかどうかは、漢字圏、非漢字圏の違いにはよらない。(2)学習のスタイルとして、全体を読んでから単語を検索するトップダウン型と読みながらつねに単語を検索するボトムアップ型を、学習記録から判断できる。(3)「関連情報」(単語解説の中の例文や同義語を提示する機能)は利用の仕方に個人差がある。今回はあまり利用しない学習者が多かった。(4)総学習時間の個人差は1時間半から8時間まで幅広く、2週間で4〜5時間という学習者が多かった。 2.「プロトコル」による「新書ライブラリー」の読解過程の調査を行った:4月〜5月にパイロットスタディを行い、10月〜11月に本調査を行った。全体で4000字弱の本文を(1)学習者が何をどのように理解し何に困難を感じているか、(2)文章のタイプによって理解に差があるかどうかを明らかにしようとした。その結果(1)について、読解の意味処理が疎外される要因5点が抽出された。 3.日中同形異義語の研究を行った:「新書ライブラリー」の単語解説をつけた単語のうち、2字の漢字熟語を調査対象として分析し、77語の日中同形異義語(日本語と中国語で形が同じだが、意味の異なる語)を抽出した。これは対象とした1500余の単語の約7%であった。これに対し、形も意味も同じ単語(同形同義)は60%以上、形も意味も全く異なる単語(異形異義)は30%強であった。このことから、中国人学習者の学習上の「強み」(70%近い漢字語彙は類推ができる)と「落とし穴」が裏付けられた。
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