研究概要 |
本研究の目的は,感覚に障害を持つ人たちの様々な生活シーンにおける,情報保障方法の可能性と問題点を検討することである.本年度は,特に対面場面での視覚障害,聴覚障害,および視覚障害者・聴覚障害者間におけるコミュニケーションの問題について考察を行った. 1.国際会議での発表 平成11年度に行った,視覚障害者・聴覚障害者間のインターネットを介した文字ベースのコミュニケーションについてまとめ,国際会議ICCHP2000(Karlsruhe Germany)において,2件の発表を行った. 2.対面場面での視覚障害者・聴覚障害者間のコミュニケーションの評価 平成11年度は,インターネットを介した,非対面の状況でのコミュニケーションについて評価・検討してきた.本年度は,対面場面でのコミュニケーションについて,(1)直接対話(読話等),(2)筆談,(3)手話・音声通訳を介する,(4)チャットを用いる,などの方法について,実際のコミュニケーション場面を通して評価した. 特にチャットに関しては,他者を介さず,「確実に」情報が伝わるなど,評価が高かった.また,対面場面ではPDAのような機器の小型化の要望もあった. 本研究の成果を,電子情報通信学会教育工学研究会にて発表した. 3.対面場面での聴覚障害者・健聴者間のコミュニケーションの評価 音声認識技術を用い,健聴者が発する音声をコンピュータが認識し,文字に変換して聴覚障害者に提示するシステムを実現し,評価した. 文字の表示方法については,個人差もあるが,発言と発言者および発言タイミングとの関連性が重要であることなどが明らかになった.本システムをウェアラブルコンピュータに実装し,音声化した文字をヘッドマウントディスプレイに表示することにより,システムを小型・汎用化できる. 本研究の成果を,電子情報通信学会教育工学研究会にて発表した.
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