研究概要 |
本研究の目的は,青少年の危険行動を防止するプログラム開発のために,青少年のライフスキルと健康関連行動との関係を明らかにすることである。調査は,全国から無作為に抽出した小学校22校,中学校16校,高等学校26校の小学校5年生〜高等学校3年生5,636人を対象として,2000年11月から2001年2月にかけて質問紙法により実施した。 セルフエスティームの測定にはハーター,ポープら,ローゼンバーグの尺度を,小学生の社会的スキルの測定には嶋田らの小学生用尺度を,中学・高校生の社会的スキルの測定には戸ケ崎らの中学生用尺度,ストレス対処スキルの測定には大竹らのコーピング尺度の短縮版をそれぞれ用いた。 行動とセルフエスティームとの間には強い関係があり,体育の授業以外にもよく運動をする,朝食を毎日食べる,喫煙経験がない,あるいはここ1か月間の喫煙経験がない,ここ1か月間の飲酒経験がない,薬物乱用の経験がない,性交の経験がない児童生徒は,セルフエスティームの得点が高かった。 社会的スキルについては,小学校においては,運動,朝食,喫煙,飲酒などに関して健康的な行動を実践している児童は,好ましい「向社会的スキル」の得点が高く,好ましくない「引っ込み思案行動」や「攻撃行動」の得点が低かった。また中学校や高等学校では,運動,朝食に関して健康的な行動を実践している生徒は,好ましい「関係向上行動」「関係維持行動」「関係参加行動」の得点が高かった。 ストレス対処スキルについては,運動,朝食,喫煙,飲酒,薬物などに関して健康的な行動を実践している児童生徒は,問題焦点型の「サポート希求」や「問題解決」の得点が高く,情動焦点型の「気分転換」「情動的回避」「行動的回避」「認知的回避」の得点が低かった。 以上の結果は,危険行動が表面化する前にライフスキル教育を導入する必要性を示唆している。
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