本研究は、第二言語習得、第一言語保持で取り上げる概念を数量化してモデルを作成した上で概念間の関係を因果関係として捉える基盤として生態学的ネットワークを据え、その為に自然科学諸科学のうち言語習得・保持研究に適用可能な生態学的人間学の枠組に寄与できる諸手続を組み込み、共分散構造分析の原理モデルの作成、改変を行った。 具体的には以下の諸点を進めた。 1.共分散構造分析を分析の手法としている遺伝学、生理学、生態学等の先行諸研究と、心理学諸学を取り上げ、年少者言語習得、保持研究で僅かに同手法を採用しているものと比較し、要因の概念化の過程、概念間に因果関係を設定する手続きのあり方の上で如何なる相違(及び共通部分)があるかも特定した。 2.これら相違点、共通部分を図式化して把握することを媒介として、生態学的人間学の枠組に沿うものとして位置づけられる概念化・概念間因果関係の設定のあり方を定式化して原理モデルの作成、改変を行った。
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