研究概要 |
今年度の活動としては,日本語教員養成として「日本事情」をどのように教えるかを考えるための教育的方法およびその理念的な背景について検討し,そのモデルクラスの設置の方法と具体化について研究会等を定期的に催しつつ議論を重ねた。 モデルクラスについては、昨年度に引き続き、細川の担当する早稲田大学日本語研究教育センターにおける「日本語・総合」クラスでの実践を記録し、この分析を行うとともに,ここでの学習者の活動と「日本事情」教育としての位置づけの問題について研究会を開催し,討議を行った。 以上のような検討から、昨年度策定した、日本語教員養成として「日本事情」とその教授に関しての3段階の内容をさらにくわしく検討することができた。 (1)体験・観察-ここでは、実習クラスに参加することによって日本語学習者と同様のことを実習生も体験し、同時にそのありさまを観察する経験を持つ。学習者とともに体験的な作業を行う。 (2)分析・解釈-この結果を分析することによって、教室で起こっている問題について一人一人が解釈を行い、分析的な視点から、問題発見解決型クラスの活動および教師の役割等について検討する。 (3)仮説・展開-前記の分析・解釈にもとづき、実習生一人一人が仮説を定め、その仮説にしたがって、新しい固有の展開をめざす。この部分は、今後の課題として残された。 以上の3段階の検討を経て、「21世紀の「日本事情」」(くろしお出版)第3号では、早稲田大学大学院日本語教育研究科における「日本事情教育実践研究」の試みを紹介した。次年度には、以上の、(1)体験・観察・(2)分析・解釈・(3)仮説・展開を具体的にどのようにクラスの中で展開させるかが課題となる。それは、4年間の討議を踏まえ、次年度の報告書において、日本語教員養成における「日本事情」教育のシラバス構築のための試案を作成する予定である。
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