研究概要 |
本年度は,昨年度設計したシステムJasp(JAva based Statistical Processor)のプロトタイプの完成度を高めること,広く外部の意見を取り入れることができるようにWorld Wide Web上でのJaspの公開を開始しすること,そして,ある既存のシミュレーション・リサンプリングライブラリの詳しい検討を行った. まず,シミュレーションおよびリサンプリングに関する統計手法が確実にまた容易に実行できるように,システムの完成度を高めた.最初に,コンピュータの専門家でない統計家でも簡単に自作の統計処理プログラムを書け,一度書いたプログラムを整理してシステムに組み込めるように,システム言語(Jasp言語)を拡張して実装した.また,シミュレーションやリサンプリングのような手法では1台の計算機で処理を行うよりも複数台の計算機において分散して処理した方がよいので,そのための分散処理機能を組み込み,その実験を行った.そして,これらの機構を簡単に利用するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)とプログラミングのためのキャラクタユーザインタフェース(CUI)を改良した.Jaspのユーザインタフェースでは,CUIとGUIが相互に密接に関連しており,両方を使った解析が可能である.また,他言語とのリンク,他の統計解析システムとの協力のための機能の設計と実験的な実装を行った. そして,統計数理研究所内のサーバでJaspのWorld Wide Webホームページの公開を開始した (http://jasp.ism.ac.jp/).ここではJavaアプレットとしてJaspを試すことができる.また,ソースコードも公開しているため,ダウンロードして自分の計算機にインストールすることもできる. なお,シミュレーション・リサンプリングの優れたライブラリを含む本「Bootstrap Methods and their Application」(A.C.Davison and D.V.Hinkley,Cambridge)をメンバーで読んでわれわれのライブラリの設計の参考にした.
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