研究概要 |
本年度は,汎用的な統計解析システムJasp(Java based statistical processor)の拡張性と並列分散処理機能の検討と設計を行い,主に拡張性の実装を行った.Jaspは,シミュレーション・リサンプリングのことを考慮しながら設計され,統計手法を記述するためのJasp言語が備わっている.しかし,計算量の関係もあり,外部プログラムを簡単に呼び出して実行できる機能や並列分散処理機能の必要がある. 拡張性に関しては,Jaspに他言語または他のシステムとのリンク機能を実現した. まず,他言語とのリンク機能は,Jasp言語にJava言語やC, Fortran言語などで実現された統計計算やグラフ表示のためのソフトウエアをJasp言語から利用できるようにした.次に,他のデータ解析システムとのリンク機能については,2種類のシステムを利用できるようにした.1つは,Microsoft Windows上において広く利用されている表計算ソフトウエアの1つであるMicrosoft Excelである.これによって,ExcelのデータをJaspに取り込むことやExcelにJaspのデータを送り込むことができる.もう1つのシステムは,データ解析システムであるXploReである.これは,XploReの統計手法をJaspに取り込む機能である. 並列分散処理機能については,計算機時間を短縮するための機能をJaspに組み込むことに関して検討と設計を行った.現在,並列計算や分散計算において良く利用されているMPI(Message Passing Interface)やPVM(Parallel Virtual Machine)などを考慮して,Jasp言語を利用することによって,これらよりも簡単に並列計算や分散計算を実現できるように設計を行った.この機能は,Java言語に関連した技術の1つであるJiniを利用して実現する予定である.
|