研究概要 |
今年度の研究の目的は,前年度に設計・開発を行った仕様リポジトリ管理システムと検証推論システムを統合することにより,1)選ばれたソフトウェア・コンポネントが求められた機能を提供するかどうか,また,2)システム統合における安全性が満たされるかどうか,をグラフィカル・ユーザーインターフェース(GUI)を通して,半自動的に検証できるようなシステムのプロトタイプを作成することであった.プロトタイプの作成においては,1)XMLによるリポジトリ表現,2)標準プロトコル(HTTP,TCP,CGI)によるユーザーおよび検証推論エンジンとの連動,3)ブラウザーで動作するWebアプリケーションとしての実装,により,各構成要素をネットワーク上の異なるサイトに配置できるようになったため,システムの修正や実験などが容易に行えるようになった.このことは今後の研究開発に役立つものと思われる.そして,このプロトタイプを用いて,簡単なコンテナー・クラスの仕様を検索する実験を行った.コンテナーはスタック,セル,バソファなど15種類を遠隔リポジトリに登録し,ユーザーがブラウザー上で要求コンポネント仕様を与え,詳細化をパスしたコンポネントについてCafeOBJサーバー経由でモデル検査を行った.コンポネント仕様やモデル検査された性質はごく簡単なものであったものの,処理は完全に自動化されており,ネットワーク上でのコンポネント仕様検証システムとしての本研究での基本設計が妥当であったことを確認することができた.最後に,より実用に近い実験を行うための準備として,実際に流通しているEJB(Enterprise JavaBeans)コンポネントのJavaDoc形式によるAPI定義をCafeOBJによるインターフェース仕様に変換するツールを作成した.これによりWeb上で公開されたJavaクラス定義を自動的に仕様化することが可能になり,将来の検証システム運用の助けになるものと思われる.
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