研究概要 |
本年度は最終年度であるので、前年度までの構築したシステムの検証と研究全体の総合評価を行う。まず,コミュニティシステムにおいてはインタフェースエージェントを用いたコミュニティ活動支援システムTelMeAの被験者実験を行い,評価を行った.この評価においては本システムはこれまでのテキストだけのシステムに比べてマルチモーダルな会話が行えることが確認できた.また主観評価ではすべての面でテキストによるシステムの評価を上回り,ユーザに受け入れやすいシステムであることが確認でした.また個人的知識を獲得するシステムにおいても被験者実験を行い,十分な効果があることが確認できた.このシステムにおいてシステムが提案してくる過去のメモ(リンク)はユーザに受け入れやすいものであったこと,またこのメモに基づく要約においてもよい性能があることがわかった. まとめとしては,これまでの研究を総括して「メディアとしての知識」という概念を提起した.ここでは知識は個別の人や計算機(エージェント)の内部にあるのではなく,コミュニケーションを可能としているものが知識であるという概念である.このように考えるとき知識は閉じたものではなく開いたものになり,個々の人や計算機の内部でなくそれらの中間にあることになる.メディアとしての知識を再定義することで,本研究の各研究は体系的に位置付けられる.すなわち,オントロジーはエージェント間で共通性の高い知識であり,コミュニティの知識,環境の知識は中間であり,身体性に基づく知識は個別性の高い知識である.また人と計算機・機械という軸で考えると,オントロジーと身体性に基づく知識は共通性を目指すの対して,コミュニティの知識,環境の知識は人や機械の特質を取り込む知識であるといえる.
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