研究概要 |
本研究では,人や車など,3次元空間を移動する,いわゆるムービングオブジェクトの動きをデータベースに格納して,さまざまな問合せ要求に応えられるようなデータベースシステムを構築することを目的に研究を行っている.本研究は3年度計画で昨年度スタートした.昨年度は,初年度であったので,3次元ムービングオブジェクトのデータモデルを明らかにすることと,3次元ムービングオブジェクトデータベースシステムの基礎を構築することを目標に研究を行った.今年度は,それを受けて,3次元ムービングオブジェクトデータベースに対する有効な検索を提供することを目指して研究を行った.構築しているシステムは,基本的に,衛星による位置測定システムであるGPS,地理情報システムであるGIS,両システムを結合する通信システム,そして測定データを格納し検索処理の基本をこなすためのデータベースシステムからなる.一方,従来の機能を駆使しても複数のムービングオブジェクト間の問合せを処理できない現実がある.そこで,今年度は,その問題に焦点をあてて,2台の車がすれ違った時刻と地点を求める,という問題を主として取り上げて,質問処理アルゴリズムの解明,その実装,評価を行い,良好な結果を得ることが出来た.研究は,実際に自動車にGPSを取り付けて時々刻々自動車の緯度、経度、高度、速度等の車両データを携帯電話を用いて基地局に伝送して,データベースに格納するプロトタイプシステムをベースに実現されている.今後,システムのリアルタイム化などに取り組む予定である.
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