研究概要 |
仮想音場生成システムと高速グラフィック計算機OCTANEを購入し,利用者,仮想人間(avatar),仮想物体から構成される仮想環境に置いて,音を自律的に発生するもの(音源体)と,他との干渉により音を発するもの(音源イベント)が自由に移動するとき,描画と音の発生,干渉に伴う力覚の発生を同期させる基本メカニズムの構築を行った. 購入したローランド社製RSS10には,自由な音源移動を支援する機構が準備されているが,それでは実時間で音源を自由に移動させながら,移動物体を描画することが出来ないので,描画システムから,音源体や音源イベント発生位置情報をRSS-10へ送出するプログラムをPCを用いて作成した.これにより,音と描画の同期が可能となったが,描画対象の形状が複雑になると,一回の描画に要する時間が長くなるため,連続音の発生が難しくなることが判明した.描画をOCTANEで行いながら,音源情報を高速に音生成システムに送出する機構を次年度作成することにより,この問題を解決する予定である. 音源イベントの発生は物体同士の干渉によって生じるため,高速な干渉判定器が必要であり,再帰的空間分割法を実現し,物体データが空間格子のどの部分にあるかを調べることにより,衝突検査に要する時間を大幅に減少させることができた. しかしながら,物体の移動速度が高速になると,シミュレーションの1サイクル中に移動する距離が大きくなり,干渉検出が行えない場合が生じる.すなわち,描画,衝突検出,音発生を逐次的に行ったのでは,高速なイベント処理が予想通り困難なことが判明した.これを解決するために,次年度で描画と干渉検出を並行処理するシステムを作成する予定である.
|