研究概要 |
混雑システムを構成するインテリジェントな客の例として,a)交差点の歩行者 b)電車内の客 c)インターネットの利用者 をとりあげ,ほぼモデル化が終了した.現在,論文にとりまとめる作業を行っている. a)交差点の歩行者については,昨年度作成したシミュレーションモデルをさらに改良するとともに,歩行者密度と平均歩行速度の関係をシミュレーションで求め,それを実際の歩行流に対して観測した従来の研究結果と比較した.まだ検討が十分ではないが,今のところシミュレーション結果と観測結果は非常によくあっている. b)電車内の客については,立ち位置モデルに加えて乗降モデルを完成させ,駅に電車が着いたときに,客が降りまた乗り込み,発車までに自分の立ち位置を確保するまでの一連のシミュレーションが可能となった.これをもとに,客の乗降に必要な時間を計測したところ,電車の混雑率と乗降客数によって,その時間が興味深い動きをすることが確認できた. c)インターネット利用者については,http通信データをもとに,個人行動を考慮に入れたモデルを構築した.結果から見ると,ここでは個人の動向よりも,クライアントやサーバ側の事情というのが,ネットワークの混雑状況により大きく関係していることが観察された.
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