研究分担者 |
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272013)
平野 信一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10228801)
松本 秀明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30173909)
千葉 則行 東北工業大学, 工学部, 助教授 (00104133)
宮城 豊彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (00137580)
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研究概要 |
(1)崩壊発生の素因を準備する匍行成土層が,形態を異にする斜面上の各位置でどのように形成されるかを知るため,土壌匍行強度(平均的移動速度)を野外で継続的に実測する装置と,その観測値をキャリブレートする方法とを開発し,それらを用いた観測を,青葉山丘陵のモミ自然林と,高館丘陵のコナラ二次林で開始した.その結果,遷急線直上や土壌層が未風化基岩上面の凹所を埋めている部分などでクリープ速度が大きく,局所的には数か月で数mmに達すること,A層内では流動的な動きが生じているのに対し,B層+BC層では下底にすべり面をもったブロック状の動きを示すこと,などが判明した.これらについてはなお観測を継続し,経年的な動きを明らかにしようとしている. (2)旧地すべり地で生じたやや大型の表層崩壊の地形・地質の特徴を的確に把握するため,高館丘陵の旧地すべり地で1994年9月に発生した一崩壊地において,フィールドステーションを用いた詳細な地形測量と土壌・地質断面観察を実施した.その結果,旧地すべりの規模および滑動機構,その滑落崖形成に対する断層の制約,旧地すべり地形を埋める崩績成物質の分布,新期崩壊の滑落崖が旧地すべりの範囲を超えて拡大したようす,新期崩壊発生における軽石層およびそこへの浸透水の影響,新期崩壊の崩落土砂流動・堆積範囲等が明らかになりつつある.これらに基づき,表層崩壊発生に対する旧地すべりの制約を明確に捉えられるようになると期待される. (3)崩壊発生の引きがねとなる,浸透流の集中と浸透流から地表流・水みち流への転化の状況を把握する目的で,すでに実施した谷頭部パイプ出口での流出量連続観測結果の解析を継続し,さらに深部風化層からの地下水の進出状況もあわせて観測する方法を開発中である. (4)上記の知見に基づき,すでに得られている表層崩壊発生状況や旧崩壊堆積物の放射性炭素年代値などとあわせて,表層崩壊発生の空間的・時間的規則性をに関する考察を進めつつある.
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