研究課題
基盤研究(B)
電子サイクロトロン共鳴位置で発生した電子バーンシュタイン波(EBW)はプラズマ中を伝播し、臨界面で電子サイクロトロン波(ECE)に変換される。EBWは静電波なのでプラズマの中にしか存在できない。電磁波であるECEが真空中に伝播する。この一連のプロセスを発生位置からアンテナまで光線追跡することがEBW計測の基礎である。EBWの理論研究は京都大学前川教授によってなされた。そこで、前川教授が開発した計算コードをLHDの磁場構成に適用して、EBWの発生と伝播、そしてECEへの変換を計算している。同じ意味で、LHDにおけるECE計測の基礎を押さえておく必要がある。LHDのヘリカル磁場中ではECEが進むに連れて磁場の方向が変わって行く。そこで、ヘリカル磁場中でのECEの伝播を調べた。既存のECE計測システムに設置してある偏光回転器を改良し、プラズマ運転時に回転できるようにした。実験の結果、異なる周波数、すなわち異なる位置で発生したECEの偏光特性はどれも同じであった。すなわち、ECEの偏光特性は発生した場所での磁場の角度方向ではなく、プラズマを離れるときの磁場の角度方向で決定されることが分かった。本年度、アンテナの設計製作を行った。本年度のLHD実験は6月に真空を閉じて始まり、1月に真空を開けて終了した。したがって本年度はプラズマ実験ができなかった。そこでアンテナは次年度の6月に真空容器に取り付ける予定で現在準備中である。