研究課題/領域番号 |
11480128
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小倉 紀雄 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30015127)
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研究分担者 |
楊 余興 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50260526)
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70187970)
土器屋 由紀子 東京農工大学, 農学部, 教授 (10011909)
上田 真吾 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (40318390)
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キーワード | 化石燃料 / 微量成分 / 窒素酸化物 / 硫黄酸化物 / 多環芳香族炭化水素 / 大気降下物 / 森林集水域 / 物質循環 |
研究概要 |
東京多摩地域、山梨県、栃木県、長野県などにおける森林小集水域において大気降下物(林外雨、林内雨、樹幹流)、土壌溶液、表面流出水などを採取し、化石燃料燃焼由来と考えられる窒素酸化物、硫酸酸化物などの物質循環・物質収支と各々の集水域の特徴および多環芳香族炭化水素の環境動態などについて検討した。 長野県雌池集水域において物質収支の検討を行った。雌池はアルカリ度、電気伝導率が極めて低く、遠方から輸送されると考えられる酸性降下物の影響を受けやすい湖であることが明らかになった。同様な検討を山梨県四尾連湖、栃木県奥日光集水域においても行った。 森林集水域において大気降下物と渓流水との間の物質循環を明かにするため、土壌中の水溶性、交換性イオンなどを測定した。火山灰土壌では大量の硫酸イオンが交換性として存在し、硝酸イオンと硫酸イオンの蓄積が土壌表面から100c層まで検出され、大気からのこれら沈着物は1mの深度まで到達していることが明らかになった。 東京、長野県、富山県の降水などの硫酸イオンの硫黄安定同位体比より、大陸で放出された二酸化硫黄は三酸化硫黄として長距離輸送され、日本上空で硫酸となり沈着することが推定された。 多摩地域森林集水域において植物の葉にトラップされた多環芳香族炭化水素(PAHs;化石燃料の燃焼起源)の存在状態を検討した。昨年の結果により葉へ付着した粒子から葉の脂質へPAHsが移行することが示唆されたが、葉のワックス層にその80%以上が存在し、葉の表面に粒子状で存在し、雨に洗い流される割合は5%程度であることが明らかになった。
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