研究課題/領域番号 |
11480130
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福嶌 義宏 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00026402)
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研究分担者 |
吉田 尚弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60174942)
橋本 哲 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (50314620)
檜山 哲哉 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (30283451)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 教授 (10135387)
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キーワード | 森林生態系 / 熱・水・二酸化炭素輸送過程 / フラックス / 冬期 / 気孔コンダクタンス / 光合成蒸散測定装置 / 鉛直一次元モデル / 森林構造 |
研究概要 |
本年度は、陸域生態系として最も代表的な森林生態系をターゲットに、主に三つの手法を用いて研究を行った。 一つは、熱・水・二酸化炭素の各輸送過程に関する気象連続観測を行った。観測は、名古屋大学構内の都市二次林に既存の気象観測タワーを用いて、既存の超音波風速計と二酸化炭素変動計により行った。その結果、上層木が落葉している冬期においても、中・下層木としての常緑性広葉樹の存在により正味の二酸化炭素輸送量は吸収側を示した。 上記観測と同時に、熱・水・二酸化炭素の各輸送量(フラックス)に影響を及ぼす個葉レベルでの気孔コンダクタンスの日変化に関する観測的研究を、当科学研究費補助金により購入した「携帯用光合成蒸散測定装置」により行った。この観測は、当装置の購入が冬期になったため、主に冬期における計測のみ行った。冬期には当森林試験地での上層木である落葉性広葉樹のコナラがすでに落葉していたが、中・下層木である常緑性広葉樹での個葉レベルの気孔コンダクタンスの計測が実施できた。その結果、常緑性広葉樹の気孔コンダクタンスは、気象要素の中では特に放射量の大小により敏感に変化し、陰葉としての中・下層木の特徴を醸し出した結果となった。 最後に、土壌内部から林床面、森林内、樹冠上に至る熱・水・二酸化炭素輸送過程に関する鉛直一次元モデルの開発を行った。上記で得られた冬期の気孔コンダクタンスの計測値をこのモデルに入力し、森林樹冠における熱・水・二酸化炭素の各輸送量(フラックス)を算出したところ、観測された熱・水・二酸化炭素の各輸送量(フラックス)と若干の差異が見られ、より精緻に森林構造を反映させたモデル化の必要性を示唆した。
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