研究概要 |
本研究は,地上にもたらされたダイオキシン類が地上から再び大気中に飛散するまでの動態を明らかにし,再飛散による長期暴露が及ぼす人間への影響評価を行うための基礎的な知見を得ることを目的として, (1)土壌中ダイオキシン類の濃度と粒子粒径との関係および土壌中での担体物質とその物理的化学的特性 (2)再飛散に関わる10ミクロン以下の土壌および大気粒子中におけるダイオキシン類の粒径分布と粒子中での分布状態 (3)再飛散によるダイオキシン類の大気中濃度負荷 を明らかにしようとするものである。 大阪府立大学先端科学研究所で大気粒子をロープレッシャインパクタサンプラを用いて8週間連続して分粒捕集した。用いたサンプラではの大気粒子の粒径は13の粒径範囲,B.F.:〈0.06,L4:0.06-0.13,L3:0.13-0.21,L2:0.21-0.31,L1:0.31-0.51,S7:0.51-0.71,S6:0.71-1.2,S5:1.2-2.2,S4:2.2-3.6,S3:3.6-5.4,S2:5.4-8.1,S1:8.1-11,S0:〉11μm,に分粒される。各粒径範囲に分粒された試料量は1mg〜14mg,平均濃度は40μg/m^3であった。環境庁のマニュアルに準拠した測定方法でダイオキシン類(ダイオキシン及びジベンゾフラン)を分析した結果,大気中の粒子に含まれる全ダイオキシン類濃度は11pg/m^3であった。また,粒径と濃度の関係(ダイオキシン類の粒径分布)をみると,粒径2μm以下の部分にほぼ90%が存在した。この粒径2μm以下の粒子ではダイオキシン類の含有率は400〜600ng/gであった。調査地点付近の堆積物を採取し,40μm以下の粒子を篩い分けして分析した結果,粒子に含まれるダイオキシン類の濃度は19ng/gであった。
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