土壌等を分粒して、大気中に浮遊する粒径の粒子を分粒する装置を製作した。この装置では、試料を乾燥後にふるい振とう機で各種の篩を用いて分粒して得た40ミクロン以下の分画を、大気中に再飛散させ、慣性衝突によってさらに小さい粒径に分離する。この装置を利用して大学構内や屋上で採取した推積物を分粒して分析のための試料を得た。ロープレッシャインパクタで粒径別にサブミクロンまでの13粒径範囲に分粒した大気エアロゾル粒子試料を2週間毎に連続採取し、分析用試料を蓄積した。これらから適当に選んだ試料について、中性子放射化分析、熱光学炭素分析などを適用して粒子の化学成分を詳細に分析した。また、ダイオキシン類の主たる発生源と思われる廃棄物焼却施設からの排気粒子を円筒濾紙で採取した試料についても化学成分の分析を行った。得られた試料の秤量及び化学分析結果を解析して、ダイオキシン類などの化学成分と粒子粒径との関係を明らかにするとともに、数値解析を施して粒径分布を導いた。特に大阪府域の大気浮遊粒子についてほぼ2年観平均の粒径分布を導いた。得られた粒径分布について、ICRP(International Commision on Radiological Protection)による呼吸器官モデルに基づき開発された内部被爆計算コードLUDEP2.07を利用して、呼吸器官各部位への沈着量を粒子及びダイオキシン類などの各種の化学成分について試算した。また、大気エアロゾル粒子について、再飛散による寄与がどの程度かをCMB(Chemical Mass Balance)法で評価した。
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