研究課題/領域番号 |
11480136
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
原科 幸彦 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20092570)
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研究分担者 |
松本 安生 神奈川大学, 外国語学部, 助教授 (00272683)
阿部 直也 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教務職員 (30323819)
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キーワード | 戦略的環境アセスメント / 意思決定プロセス / 環境影響評価法 / 計画・政策段階 / 社会・経済面の評価 / プロセスの公開制 |
研究概要 |
本年度は過去2年間の研究成果を踏まえて、我が国における戦略的環境アセスメント(SEA)の代表的な先行事例を抽出し、事例分析を行った。具体的には廃棄物処理施設計画と道路計画を対象事例とした。廃棄物処理施設計画では東村山市における計画プロセスを取り上げ、道路計画では横浜市青葉区における地域骨格道路の事例を取り上げ分析した。いずれもSEAとは称してはいないが、個別事業計画の上位段階の計画を対象にしており、SEA的な側面が見られることが確認された。 SEAの導入は意思決定過程における情報公開の情況に左右される。我が国では平成13年4月より情報公開法が施行されたことにより意思形成過程の情報も原則公開となり、SEA導入の基本条件の一つが満たされるようになった。国の段階ではまだ省庁間の壁は厚いが、都道府県や政令市などの自治体においてはSEAの取組みが始まっている。そこで、この新しい状況下でのSEA制度導入の可能性についてアンケート調査により実態を把握した。その結果、SEAに相当する仕組みはまだ我が国では導入されていないが、三重県、川崎市、東京都など一部自治体では部分的に要件を満たす制度が作成されつつあることを確認した。今後の導入可能性についての分析では、複数案の比較検討に関しては三重県のように、その可能性の高い自治体もあることなどが明らかになった。 また、過去2年間の我が国におけるSEAの現状分析の結果は、環境研究分野のBuilt Enviromment(27(1),2001)誌に掲載した。この号では目本の環境アセスメントの現状と将来について特集を組んだが、筆者はそのGuest Editorを依頼され、その巻頭に日本の新しい動きとして研究成果を紹介した。この成果は国際影響評価学会(IAIA)の理事ら主要メンバーにも提示し、意見交換を行った。 さらに、3年にわたる本研究の成果をまとめ、本年度のSEA導入情況とその可能性に関する調査結果を中心に報告書を作成し、出版した。
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