研究概要 |
原爆被曝者の高令化に伴い、骨髄異形成症候群(MDS)の増加がみられているが、我々はそのリスクが高いことを細菌明らかにしている。この結果は過去の死亡調査をもとに得られたもので、主としてRAEB,BAEB-Tが含まれており、頻度の高いRAはほとんど含まれていない。そこで本研究は最近20年間の被曝者MDS例について病型診断(RA,RARS,RAEB,RAEB-T)を確定し、各病型別に放射線被曝による発症のリスクを明らかにし、さらにリスクの増加に影響する因子を解析することを目的に実施した。 まず、当血液内科において過去20年間に診断されたMDSをリストアップし、末梢血所見と骨髄所見、標本観察により、MDSの病型診断を確定したところ、RA75例、RARS6例、RAEB41例、RAEBt29例の計151例であった。被爆者情報は当研究所が構築したデーターベースによって確認し、線量は当研究所の作成したABS93Dによって計算されたものを使用した結果、11名の被爆者について線量が判明した。今後、MDSのRA,PASA,RAEB,RAEB-Tの病型について被曝線量反応関係を明らかにし、被曝線量反応関係に影響する因子として、性別、被曝時年令、被曝後経過時間、発病年令等について明らかにする予定である。MDSの遺伝子異常の検索に備えて、症例の蓄積、血液細胞の保存は順調に行われている。
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